『五等分の花嫁』最終14巻が発売しましたので。
全体的な感想を書いていきたいと思います。
私は結構前からマガジン本誌組です。
なので五等分~は読み切りから知っていました。
が、ラブコメというジャンルから個人的に卒業していたので読みはしたものの存在を忘れていました。
「五つ子がヒロイン?そんな荒唐無稽な」と。
そしたら連載が決まったじゃないですか。驚きましたね。
取り敢えず絵も綺麗だしで読んでました。
そして昨年の1月からアニメがスタートし、それでストーリーを思い出し、
本誌のとある展開に引き込まれコミックを一気買いしたんです。
そこからは五等分だけは0時更新のマガポケで最速で読んでました。
で、今に至ります。つまりはまあ普通のファンです。
そんな私が完結記念に感想を書こうと思いました。
あ、割と否よりの感想文となります。
とある時点までは「最高のラブコメ!」と絶賛していたんですけどね。
読み終わって一言言わせて貰えるなら「なんじゃこりゃ」です。
「本命(花嫁)は四葉でした」
この事に不満はありません。私はとある時から一花派だったのですが、
別に勝利ヒロインである事にこだわりはなかったからです。
勿論勝ってくれるならそれはそれで大歓迎でしたけど。
とにかく四葉が花嫁で構わなかったんです。
内に秘めたコンプレックス、数少ない四葉メイン回である
「勤労感謝ツアー」の完成度、思い出の子としての背景。
ここだけ見れば十分に勝ちヒロインたる条件が揃っていますし、納得のいく要素です。
あ、私の中で一花が断トツなんですが次点が四葉なんですよ。
それを前提に言わせてください。
「なんじゃそりゃ!!!!!」
とにかくですね、四葉って作中でぜんっぜん成長してないんですよ。
幼少期に自我が芽生えて以降、「私は皆とは違う、私は私」と強く思ってきた彼女ですが、
中学生から黒薔薇時代まで内心姉妹を見下し自分の(努力の結果の)才能に溺れていました。
結果として自分だけが黒薔薇を追い出される形になり、
それに姉妹まで付き合ってくれたので改心したようにみえます。
そう、したように見えるだけで本質はそんなに変化していません!
見下し態度こそ矯正されたものの、転校先の旭高校(舞台の高校)でも
相変わらず勉強そっちのけで部活の助っ人を続ける四葉。
「勉強しないで助っ人ばかりやってて痛い目みたんじゃないの!?それで姉妹まで付き合わせちゃって改心したんじゃないの!?」と思わざるを得ません。
他の姉妹はどうでしょうか。
一花:女優という大きな夢を持ち、それに邁進しています。フータローを巡り姉妹と険悪になりますが改心し、人間的にしっかりと成長したと言えます。元々「自分はお姉ちゃんだから」という気持ちがある為姉妹依存も他の姉妹ほどはなく、物語の初めから割と自立したキャラでしたね。
二乃:最初は社会的にもアウトな行為を取るある意味漫画的な面が強かった二乃ですが、姉妹依存から脱却すると共に極々普通の常識人となっていきました。これもある意味成長でしょう。恋愛暴走特急なんかも可愛いもので、読者としては微笑ましくみれていました。
二乃の場合漫画的なキャラクターが現実的な人間になっていった感じなので成長とはちょっと違うかもしれませんが、まあ姉妹依存から脱却は明確な成長でしょう。
あとあからさまに苦手描写があったマルオとの和解も大きいですね。
三玖:一番成長したキャラクターでしょう。根暗でコンプレックスの塊だった三玖も恋を知って、そしてフータローや周りに影響されてどんどん成長していきました。
パン職人キャラになった時は二乃とのキャラ被りとか色々あって微妙でしたが、「成長」という意味では他の姉妹の追随を許さないレベルで変わったキャラでしょう。
五月:頑張っても結果が出ない、そして大人ぶってもそこは末っ子甘えん坊といった五月でしたが、夢(目標)を明確に持ち、それを見事叶えました。立派です。
ごめんなさい、五月に関してはこれ以上言えることがないです。
で、四葉ですよ。
幼少期から黒薔薇時代は他の姉妹を内心見下してて、転校してからは現実から逃げてばかり。
「姉妹の為!」というのも結局は現実から目をそらす材料にしてましたからね。
そして全てから逃げ続けてフータローの方からアプローチされて陥落、と。
その間に四葉が成長だとか前向きになるとか、なんか特にそんなこともなく、あっさり。
棚ぼたヒロインですよね。全然面白くありません。
姉妹見下しも、自己犠牲も、京都での思い出もノータッチ!!!
「過去より今」を強調するにしても作品の根っこである京都の思い出を活かさないって、
それ単純にストーリーまとめきれなかっただけですよね?
風太郎から見たら「最初から自分に態度が柔らかく心を開いてくれてた良い子」で終わってるんですよ。
流石に結婚式までには四葉の闇(?)の部分も知ってはいるでしょうけど、少なくとも付き合うことが決まったタイミングでは一切知らないんです。
なんか本当一つの作品としてモヤモヤします。
なんか話題がループしてる気がするので次にいきましょう。
「五人揃って笑顔で卒業」が冒頭のカラーで処理されたんですけど?
え、どういうことですかね。最大のテーマではないにせよ主人公が作中で目標に掲げていた事ですよね?
その為に夢の為に中退しようとしてた一花を無理矢理にでも引き留めたんですよね?
ちょっと理解出来ません。
あと前からシチュエーション設定がガバガバ(林間学校で大雪だったり夏場のイベントがあったり)な所もありましたけど、修学旅行から向こう酷いですよね。
「作者は高校行ってないのか?」という煽りじゃなく本当に純粋な疑問が飛び交ってましたね。
それにいくら思い出をアルバムにして渡そうとしてたとしても盗撮は普通に引きますよ。
それも本人じゃなく何故か友達にやらせる始末。下手しなくても前田君と二人で謹慎モノですよ。
倫理観がおかしいです。
その後も色々おかしい所が目立ってましたが極めつけはやはり最終回でしょう。
五つ子ゲーム?それは最早最初から予想出来てたのでやや引きですみました。
むしろ親族の前でやると思ってたので控室で本人達だけでやってたので安心すらしました。
問題は二乃と三玖ですよ。他の二人もアレですけど。
二乃はフータローに向かって涙を滲ませ、三玖なんて抱き着いてますからね。
いやいやいやいや。
冷静に考えて5年前には明確な好意を向けていた姉妹二人がこの行動。
嫁として絶対に諫めないと駄目ですよこんなの。
「泣くな!」とかは無理ですけど、そのあと二乃は率先して二人の新婚旅行についていく態度を見せてましたからね。
二つの事象を合わせるとアウトコースですよ、間違いなく。
二人とも未練たらったらじゃないですか。
それにこの二人は上杉家の下の店舗でお店構えてますからね。
未練たらたらというよりもむしろ隙あらばフータローを寝取ってきますよ。
真面目に作者の倫理観大丈夫かなって思います。
描写のその瞬間しか見てなくて俯瞰してみると「こいつの行動、明らかにヤバくない?」と思わないといけません。なのに気付いてないのかおかしいと思ってないのか・・・
他にも亡き奥さんの残した開店前の店舗と借金を相続してしまった父勇也。
奥さんの残したものだから相続したかったんでしょうけど、そのせいで高校生の風太郎が苦労してるじゃないですか。
最近朝ごはんの概念を知ったとか、5年後でも未だにらいはは金銭面で苦労してるとか負の遺産過ぎますよ。
マジで後半の描写のせいでイケてる父親から子供に無駄な苦労を背負いこませるクズ親になっちゃったじゃないですか。
本作で株を下げないどころか逆に上げ続けたのってマルオだけですよね。
彼は本当に聖人君子ですよ。人付き合いがめっちゃ下手という点すら背景を知ると許せますよ。
むしろその聖人君子の養父を文字通り養ってくれてる人としか認識してない姉妹の倫理観たるや・・・
マジで報われませんよマルオ・・・
零奈さんも実の父親(名前すら忘れた)が登場した事によってミステリアスな故人から単に男選びが下手な人に・・・
妊娠発覚直後にばっくれる様な男と結婚、そして舌の根が乾くか乾かないかレベルの時に自分のファンだと言ってくれる元教え子に落ちるという・・・
いやちょっろ!!!!!!
「男の人は慎重に選ばないといけません」はどこへ!?!?!?!?
これじゃ零奈さん、単に男にだらしない人になっちゃいますよ!!!
と、まあ書けば無限に愚痴に近い批評が出てくるんですけど、長すぎてもアレなんでそろそろ切り上げましょうかね。
にしても私も文章とか書いてて途中でモチベーションの糸がぷつっと切れてぶん投げる時があるんですけど、五等分もそうなのかなって思う事があります。
というのも本作は中盤(修学旅行)までは丁寧に構成されていたと感じていたからです。
キャラ描写とか発言が後になって対比になってたりして感心しましたし。
例えば序盤の姉妹のマンションでフータローと一花がベランダにて会話するシーン。
一花が「寒い、かなぁ?」と言いますが、しばらく後のスクランブルエッグ編での四葉との屋根の上での会話(「実は私も寒かったんだ」)で対比になってたり等々。
こういうのが多々あって「ラブコメなのに物語もしっかりしててすごいな」と思っていただけに修学旅行からの構成のガタつきは大変残念でした。
ねぎ先生も「何十巻も描ける人はすごいなぁ」とTwitterでつぶやいてましたし、
やはりモチベーションは相当落ちてたんだと思います。
あ、最後にこれだけは言わせてください。
ロゼだけは“無い”です。