映画の感想:特別編 『ジョジョラビット』を観てきました!
なんとか公開終了に間に合いました。
Twitterの映画好きに方々がオススメしていた作品ですし、
なんかポスター観ただけで面白そうだったので観れて本当に良かったです。
実は本作を観に行く前に既にサントラ、しかもアナログ盤を購入しておりました。
画像がそれなんですけど、可愛くないです?
あ、再生機はほぼ同時に買いました。晴れてアナログデビューです。
生まれて初めて生でレコードの音を聴きました。優しい音で良いですね。
ボリュームを目一杯上げないと駄目なのが玉に瑕ですが。
フォノイコ搭載モデルだしLINE出力してるから接続は間違いないはずなんですけどね。
さて、本編の感想をネタバレ含みつつ語っていきましょうか。
ポスターでやたら存在感を放っていたヒトラーですが、
彼はジョジョの中にしか存在しない所謂イマジナリーフレンドだったのですね。
私はてっきり実在のヒトラーが絡んでくるものと思い込んでました。
とにかく序盤はジョジョと友人アドルフのコンビの活躍が見られます。
そして中盤からのユダヤ人少女エルサとの奇妙な交流、ジョジョの心理的変化が言葉以外でも濃厚に語られます。
さて、人物に触れましょう。
まずジョジョ少年。気弱で優しい少年ですがその強い愛国心からナチスに心酔しています。
彼の友達は脳内のアドルフと親友ヨーキーだけです。
彼は10歳。エルサ相手に大人のナチ党員の様に振舞いますがそこはやはり10歳児。
あっさり手玉に取られてしまいます。
ナチスに染まりながらも本来の性根の優しさが見え隠れする様がとても愛らしいです。
そして全体的に画面の色味も抑え気味に見える本作において綺麗で鮮やかなジョジョのお母さん、
ロージー・ベッツラー。彼女は踊りと音楽が好きで明るく優しい良きお母さんでした。
彼女の足元が何度かクローズアップされますが、あの可愛らしい靴と軽快なダンスに癒されます。
しかし後半に差し掛かった所で待ち受けていたのは・・・
ジョジョが蝶々を見つけてにこやかに追いかけるシーンは観ているこちらもにこやかに見ていただけに突然の靴のアップは堪えました。最近では覚えの無い位衝撃的なシーンでした。
同時に演出の妙というか「足元が度々クローズアップされてたのはこのためか!」と唸らされました。お見事です。
親友ヨーキーは癒しですね。祖国やナチに忠誠を誓いながらもどこか飄々としていて、
でも親友のジョジョをいつも気に掛けるとても優しい少年です。
多分彼が死んでいたらこの映画には救いがなかったでしょう。生きてくれてて良かった・・・
ヨーキー万歳!
ヒロインエルサはユダヤ人。当然最初はジョジョとの仲は最悪です。
しかし彼女の冷静な態度はジョジョの洗脳を段々と解いていきます。
その際に不倶戴天の敵であるヒトラーに対して「万歳!」と言う様はなんとも言えない気持ちになりました。
そして本作で最も私の心を掴んだのはキャプテン・Kことクレンツェンドルフ大尉です。
ドイツの軍人ですが、前線を外され若干アル中でもあり、どこか浮世離れしている彼。
羊飼いのシーンで彼と彼の部下フィンケルは恋人同士なのが見て取れます。
ナチスは同性愛を嫌悪していますからこの点からも彼らがナチスに心酔はしていない事が分かりますね。
エルサを、そして同時にジョジョを守ったのは単にジョジョが顔馴染みだったからだけではないでしょう。
もしかしたらロージーとは旧知の仲だったのかも知れませんね。
二人が自転車でジョジョ家にかっ飛んでいったのも広場に吊るされたロージーをみたからと考察されてましたが、恐らくそれは当たっているでしょう。
円盤化されたら即購入してしっかりと確認したいものです。
ジョジョを子供として可愛がり、同時に一人の人間として接してくれていたドイツ軍の良心である二人。
最期は「ぼくのかんがえたさいきょうのへいそう」に身を包み捨て身の攻勢に出ます。
あのシーンは二人の儚い関係すら想起させられる切ないシーンでしたね。
再会した彼がフィンケルのマントだけを持っているという事は間違いなくフィンケルは死んでしまったのでしょう。
そして大尉自身もジョジョを庇って銃殺されてしまいます。
もしかしたらジョジョにとって友であり、兄であり、そして父であったのかもしれません。
とにかくキャプテン・Kの存在は私の心を掴みました。
彼の良さを語るには一度記憶等を整理しないといけないので再鑑賞が必要です。
早くUHDになってリリースされて欲しいものです。
なんだか感想というより大尉語りばかりしてしまった気がしますが、
とにかく本作はただのコメディでもなく、悲惨なだけでなく、感じられる事が沢山あるとても良い作品でした。
観賞後にレコードで劇伴を聴きました。大変良いサントラです。買って良かった。