映画の感想:第14回『ダンサーインザダーク』

観たのはそれこそPCが不調の時期でした。

 

「観なきゃ良かった」

「世紀の鬱映画」

「二度と観たくない」

 

等、各界絶賛の嵐で有名な本作ですが私は未見でした。

致命的なネタバレを踏んでこなかったのは幸運でしたね。

 

という訳で20年越しに観る伝説の鬱映画の感想やいかに!?

 

好き度:測定不能

推奨度:測定不能

 

 

〇好き度

「点数はどうした!コンセプト崩壊させてんじゃねーよ!」という罵声が聞こえそうです。

でも正直な点数を見出し(?)で書いてたらもうそれでオチちゃうじゃないですか!

 

という訳で点数をここで発表します。

 

おめでとうございます、堂々の1点です!!!

 

鬱展開で気分が沈んだからだと思うでしょう?全く違います。

何故かを書くと思い切りネタバレになるのでここでは控えます。

↓の方にネタバレ感想書きますのでそちらでご確認ください。

 

 

○推奨度

これを他人様にお薦めするのはちょっと・・・

鬱映画だからとかじゃないです、私自身が抱いた感想によるものです。

まあ道徳の授業とかには良いんじゃないですかね。よく分かりませんけど。

点数としては1か2です。

 

 

ではネタバレいきます。

 

 

 

 

 

〇ネタバレ

どこが鬱映画?????????

なんか悲しい事ありました????????

 

まずですね、主人公セルマという人物が受け入れられません。

そこが感想のメインになると思うので先に別の登場人物について。

 

・キャシー

セルマの良き友人。確かフランスからの移民でしたよね?

セルマが工場で働けるように視力検査の誤魔化しを手伝い、

セルマが仕事でやらかしても庇ってくれて、

セルマが夜勤に入った時は無給なのにサポートしてくれて・・・

 

いや本当にキャシー良い人過ぎるでしょう。

最後も見届けにきてくれてましたし。彼女こそ本作の善性の体現者です。

 

・ジェフ

どう見ても「やらかす」サイドの人間にしか見えない男、それがジェフ。

しかしフタを開けてみれば周囲の知人と協力して

貧しいセルマとジーンの為に自転車を買ってあげたり、

工場からそこそこ苦労して帰宅しているセルマの為に送ろうとしたり、

彼女の助命の為に奮闘したりと意外な程ナイスガイでした。

勿論男としての下心あってのものだとは分かり切っていますがそれでもです。

周りから差別されるチェコからの移民であるセルマに好意的って時点で中々です。

 

まあ邪推をすればモテないから自分より社会的に下で

頼る先を求めてきそうな移民の女性を狙っているだけともとれますけどね。

ここは本当に邪推です。

 

・ビル

途中までは本当に良い人でした。

問題を起こしたセルマ息子のジーンをわざわざ送り届けてくれたり、

ジェフ達と協力して自転車を買ってあげたり、

何より周りに疎まれる存在であるチェコ移民のセルマ親子に

トレーラーとはいえ家を提供してあげたりと・・・

彼は善良で温かい、本当に模範的な一般人だったんでしょう。

それが惚れ込んでる奥さんの散財とそれに注意を出来ない自分のせいであんな事に・・・

どんな善人でもひょんな事から悪に転げ落ちてしまうということなんでしょう。

キャシーは善の体現者ですが、ビルは悪の体現者ではありません。

飽くまで彼は善良な一般人でしたから。あの時までは。

 

・リンダ

金遣いが荒い事以外はビルと同じ模範的な善良な一市民です。

登場するシーンの殆どがビルと一緒のシーンなのでそんなに印象ないですよね。

でも偏見なくセルマ親子に接してくれてるだけあの時代のあの国では相当な「人物」だと思います。

 

・セルマ

本作主人公にして諸悪の根源。

「諸悪の根源はビルだろ!」

違うんです。確かに悲劇の原因は彼ですが、そもそもを思い出していただきたい。

セルマがお金を貯めている理由ってなんでしたか?

そう、ジーンの手術費用の為ですね?

じゃあ何故彼は手術が必要だったか。遺伝性の疾患の為ですね?

ではここで質問です。ジーンの疾患は運悪く遺伝してしまったものでしょうか?

 

違いますよね?

セルマは100%遺伝するのを承知で子供作りましたよね。

私は親ではありませんし、子供を欲しいと思った事もないのですが、

彼女の「子供をこの手で抱いてみたかった」は身勝手に感じました。

なのでそれを聞いたジェフも引いてたのでしょう。私にはそう見えました。

 

「学校で浮いてる」と悩みを打ち明けるジーンにも「貴方は素敵な子だから~」みたいなお花畑理論を展開し「ママが味方よ~」とも言ってました(ここ記憶曖昧)

真剣にジーンに向きあってあげなさいよと観てて思いました。

自転車がないことも浮く原因になってたのを見かねてジェフ達が誕生日プレゼントでそれをジーンに送った時も「この子を甘やかさないで!」と一時憤慨。

何様なんでしょうか、この母親。

満足に子供に自転車すら買ってあげられる環境・収入でもないのに母親面だけは一丁前ですね。

いますよね、こういう「甘やかしは罪だ!」みたいに考える親。

少なくとも自転車は甘やかしでは決してないでしょう。

あと「施しを受けるなんて惨めだ」と思っていたのでしょう。

でもそういう事は自分に自転車を買ってあげられるだけの豊かさがあって初めて主張出来るものです。

自分が自転車が買えなくて周りからの施しが惨めと感じるのであればそれは自由ですが、

セルマじゃなく息子の、それもまだ小学生の子供へのプレゼントですよ?

考え方がいちいち自分勝手なんですよね、セルマって。

 

ジェフの助け舟は下心ありありなのでまだ断るのは分かりますが、

キャシーや職場の上司ですら味方になってくれたのに「仕事中は安全の為にも止めてくれ」と言われていたミュージカル妄想に耽ってやらかすとかも観ててイライラしました。

 

ビルともみ合いになって一発撃ってしまった。

そこは分かります。仕方なかった感あります。

でもビルの策略で「殺してくれ」と言われたのを「OK!(ズドン)」と言わんばかりに撃ち込みまくるのはどうでしょうか。

「混乱してしまったセルマは」とありますが、混乱したくらいで人を撃つなと言いたいです。

 

ジェフやキャシーの必死の願いも聞き入れず「あの子の眼にはストレスが良くないの!」と叫ぶセルマ。

なんでも「ジーンの病気はストレスに強く結びついているので面会に来させないで」だそうです。

方々でも言われてますが「やーい、お前の母ちゃん殺人鬼~!」って言われる方がストレスがマッハだと思うんですが。

しかもお母さん死刑になりますからね。

「お前の母ちゃん殺人者だし、なんなら死刑になったぞ」とかこれ以上のストレスあります??

あとは戦場の前線くらいじゃないですかね。

 

・周囲の協力でなんとか生きている

・でも施しは惨めなので受けたくはない

・自分の主張は曲げない

・眼の病気については秘匿する

・というか基本的に何でも秘匿する癖がある

・失明の疾患は100%遺伝するのを分かってて産んだ

ジーンの父親については一切が不明

共産主義国からの移民なのに当時の米国人がどういう感情を

 共産主義者に抱くかを理解していない

・「仕事中はやめてくれ」と言われた妄想をやめない

・それどころかそれが原因で機械を壊し会社に損害を与える

ジーンにストレスは良くないと叫ぶのに彼に自身の死という最悪のストレスをプレゼント

 

軽く書き出しただけでもこれだけありますよ、彼女のイラつく点。

周囲の厚意の上に生きているのに彼らの差し出す救いの手は払いのけ、

息子の為と言いつつ彼の抱える問題には向き合わずお花畑理論で誤魔化す…。

 

ごめんなさい、こんな自己愛に塗れて身勝手な主人公をどう好きになれと??

申し訳ないですがラストシーンの彼女の処刑なんかは「悪は滅びた」って気分でしたよ。

本作に否定的な感想をお持ちの方も結構おられました。

その中身はやはり殆どセルマに対する否定的な意見でしたね。

「ラストは思わずガッツポーズを取ってしまった」と述べている方もおられた位です。

 

本当に終始不愉快な作品というか、不愉快な主人公でした。

彼女が悪として描かれていたのならまだしも、

「愚かだけど健気で儚い頑張り屋」みたいに描写されてたのがまた…

もう二度と観る事はないでしょう。

 

あと独特の画質(これは狙ってやったそうです)もきつかったですね。

そしてこれは元も子もない話なのですが、ビョークの顔が私の苦手なタイプでそれも…

彼女の存在と歌は知ってたのですがお顔を拝見するのは初めてでしたね。

 

あ、彼女の演技はとても本業が役者じゃない人とは思えない位達者でした。

というか役者以上に役者してましたよ、圧巻でした。

本作を褒めるとしたらそこですかね。

 

さようなら「ダンサーインザダーク」とこしえに~!