映画の感想:第12回目 『ターミネーター ニューフェイト』

GEOの100円セールで借りてきました。ありがとうGEO。

 

本作は監督が『デッドプール』の人です。

スピルバーグが製作陣に復帰したので勘違いしそうになりますけどね。

 

そして皆大好きサラ・コナーのオリジナルキャストであるリンダ・ハミルトンも復帰!

スピルバーグをして「2からの正当な続編」だというじゃないですか!

期待が高まりますよ!!!

 

え?じゃあなんで劇場で観てないのかですって?

ちょっと“嫌な予感が”しまして・・・

 

好き度:5(シリーズとしては2)

推奨度:4(1と2好きには1)

 

 

 

〇好き度

「映画」としてみたらアクションも頑張ってるし、

致命的に何かが駄目って事でもないので丁度中間です。

 

が、シリーズとしてみたら「???」です。

まあ正直ターミネーター自体が1と2で完璧にやれることをやり切ってるんですよね。

だからそこからまた追いかけっこを描こうと思ってもどうしても違和感しかなくなる。

というか何かしら前作の否定をしてしまう訳で。だから観客は覚めてしまう。

その点4は未来を舞台にしていたので好印象でした。興行的には大コケしちゃいましたけど。

とにかく本作はやってる事は基本同じ、どこかしらに前作(1と2)の否定、

そしてやはり現代のポリコレ思想が鼻に付くという引っかかりを感じる造りになっていましたね。

ポリコレなんてなくてもサラはファン皆に愛されてますよ。

私もサラという人物が大好きですし。

 

 

○推奨度

そこまでグロもないですし、性的なシーンは皆無です。

ファミリーで観ても差し支えがないと思います。

まあ昔は普通に1のあのシーンが堂々と流れてたのでアレなんですけどね。

ただシリーズファンには非推奨と言えるでしょう。

まあファンは興味があるでしょうし、放っておいても見ちゃうでしょうけど。

 

 

以下ネタバレ感想です

 

 

 

 

〇ネタバレ

まず物議を醸した冒頭のジョン殺害という衝撃シーン。

私も驚きましたがそれよりもサラとジョンの当時ままのCG再現に驚きました。

本当にあの当時のまま二人が新規撮影シーンに臨んだかのようなリアルさです。

私はこの手の手法は嫌いじゃないです。むしろ好きです。

ローグワンのターキン総督、レイア姫ブレードランナー2049のレイチェル。

そして今回のサラとジョン。

もう二度と当時の姿では撮影出来ない、それを覆す手法は賛否があるようですが私は感動を覚えます。

あ、でもT-800は「え?シュワちゃんなの?別人では?」って位違和感がありました。

なんかやたら顔が細いような・・・

新起動の時のシュワちゃんはびっくりする位本人でしたけど。

 

とにかくジョンが殺害されてしまった事により1と2のストーリーが全否定されました。

カイルの命をかけたバトンはあっさり否定されてしまった訳です。

サラはよく精神崩壊しなかったなと思います。下手したら自殺してたでしょ。

このシーンに引っかかってラストまで尾を引いていた人もいるみたいです。気持ちは分かります。

私は意外な事に「あ、今回はそうくるのね」と冷静でした。

まあ正当な続編=これが正史だ!という事なんでしょうけど興業成績が振るわなかったのでこれもまた黒歴史になるんじゃないかなという気持ちがあったからですね。

 

そしてジョン殺害から22年後、つまり2020年です。

1人の女性が未来から送られてきます。驚異的な身体能力からターミネーターっぽいです。

まあ違ったんですけどね。4のマーカスみたいな改造人間でした。

だからあんなに感情むき出しだった訳ですね。

そして今回の悪玉は分裂機能を持ったターミネーターです。動きも人間離れしたものです。そして速い。

ただ見た目というか顔が私には元ジャニーズの錦戸亮さんに見えてしまい一気に緊張感が抜けてしまいました。

まあここは個人的な問題ですね。

 

今回の主人公パーティは

ダニー:普通のメキシコ人女性

グレース:未来からきた改造人間

サラ:オリジナルの主人公

カール:ジョンを殺害したT-800

 

驚異の女性率。それぞれの存在意義は

ダニー:未来の救世主

グレース:ダニーを助ける為

サラ:ターミネーター全部ぶっ壊し

カール:贖罪(?)

 

各々にスポットをあてていきましょう。

ダニー:主人公ですがどうやらジョンが殺されたことにより救世主というお鉢が彼女に回ってきたようです。

ただダニーに説得力というかキャラとして魅力を引き出すには描写不足と言う他ありません。

ひたすらグレースとサラに守られるか弱い女性に過ぎませんでしたから。

ディエゴ(弟)をすぐに殺さずに中盤まで生かしておいて、

弟殺害を機に戦士へと覚醒するとかそんなベタな展開でも仕込んでくれてたら未来のダニーとも繋がり多少はキャラにも説得力が増したと思うんですよね。

「救世主はディエゴ」というミスリードを仕込んでいても面白かったかもしれません。

単に「運命がそうだから」だけだとやってる事が「ジョンが救世主だから!」という1と2から脱せていません。つまりジョンを殺してまで新救世主を立てた説得力がありません。

1のサラも戦いはしましたが基本はカイルという王子様に守られるお姫様でした。

が、彼女の存在意義はそもそも「救世主の母親である」というもので、

決してサラが救世主ではありません。なので戦士になる必要がないのです。

そこがダニーとの決定的な差です。

お姫様のままで良いサラと戦士にならなきゃいけないダニー。

二人は最初の立場こそ似てるようで全く違う存在意義があるのです。

ダニーは主人公ではありますが正直「未来から守護者がやってきて守る」

それをやらせる為の舞台装置になっていたと思います。

 

 

グレース:少女の時ダニーに救われ戦士となり、戦場で致命傷を負い改造手術を受けてダニーを守るための死出の旅を希望した…。未来からの戦士としては模範解答と言える動機でしょう。

ベタすぎますがいわゆる「こういうので良いんだよ」を地で行く感じで私は好きです。

ただ改造を受けた事によるデメリットである死にかけシーンは必要性が疑問でした。

グレースがフラフラになるシーンはあの時一回だけ。

「サラが合流するまでの物理的な時間を埋める為」以外の理由が何かあるのでしょうか。

あ、でも後半薬みたいなのを打ってるシーンがあった気がするので全く活かされなかった訳ではないですかね。

にしても「リスクがあるんです」というキャラ付けにしては微妙としか思えませんね。

「熱が発生するのでそれを冷ます為に経口による細かい水分補給、もしくは外部からの冷却が必要」とかだと良かったのかなと。

そしたら終盤の戦いで熱にやられたグレースを冷却するためにダニーが立ち上がるとか出来たのにと思うんです。

経口補給でも回復可能にしておくとリスク描写がお手軽かつ何度も出来るので印象つけられるので。

でもグレースのキャラ造形自体は好きです。見た目も含めて。

本作では貴重な良いキャラだと思います。ダニーに対しては恩義という感情で動いてたのが良かったですね。

これで実はレズビアンだったとかだったらボッコボコに叩いてました。

同性愛を否定してるんじゃありません。余りにもポリコレ過ぎるキャラ付けになるからです。

 

 

サラ:真に愛した男をT800に殺され、命よりも大事な息子をT800に殺され・・・

サラの人生、ジョンが死んでからはただの消化試合と化した事は想像に難くありません。

ジョンを殺したのってダニーという新救世主の為というより、

エドガー・ファーロングをキャスティング出来なかったからでは、と思っています。

ターミネーターを破壊しては酒浸り」と実生活の荒みっぷりを吐露するサラですが、

むしろそこで留まっているだけすごいですよ。普通は薬漬けとか自殺とかしてますよ。

ジョン殺害は自分の人生の等しいですもん。ジョンが救世主になるからこそ犯罪者になってまで頑張れたんですから。

しかしリンダ・ハミルトン自身は良い歳の取り方してますよね。

サラがそのまま歳を取ったんだって感じで。サングラスも最高でした。

ただ字幕がいわゆる「BBAキャラの口調」になってたのが違和感MAXでした。

何せ2のサラ(フジテレビ吹替版)の口調が脳にインプットされてるので。

この映画真面目にサラ(リンダ)いなかったらどうなってたんだろう、それ位サラのパワーは強かったです。

 

 

カール:ジョンを殺したT800です。ジョン殺害成功により目的を失って自由を得た結果、

学習機能で人間に関する愛だとかなんだかとかを学んだ結果人類を守る事をジョンへの贖罪として同行してくれる様になったキャラです。

新起動を視聴済みであればシュワちゃんボディーが老けていてもとかく疑問は湧かなかったでしょう。

2の時点ではそんな設定まで決まってなかったと思いますけどね。飽くまで新起動が初出。

とにかく、「外身は生きてる細胞を使ってるので普通に老化する」という設定ですね。

なので同行するT800は現在のシュワちゃんです。流石に老けたなぁ。

サラは激怒です。そりゃ当然です。誰だってそうなります、私だって。

そこをダニー達に説得されて渋々同行を認めます。よく認めたなぁ。

今回のT800はカールという名前みたいです。カイルに名前が似てるので余計サラを煽りそうですね。

最終的にやはり今回も犠牲となるのですが、ここまで意外性とかを狙うなら逆にサラがカールを助けてまさかの和解展開にしても面白かったんじゃないでしょうか。相当荒れそうですけど。

今回T800がいる理由付けみたいなのが過去一番上手く行ってないとは思いますが、

製作陣の苦労は垣間見えるのでその点については評価をしたいと思います。

 

 

Rev-9:本作の追跡者です。金属骨格に周囲が液体金属というかつて「T1000より劣化してどうすんだ」と我々を笑いの渦に巻き込んだTXのリメイク版と言えるでしょう。

ぶっきら棒な会話しか出来なかったT800(特に1)、そこそこ普通には振舞えてたT1000、

そしてにこやかに会話する事を覚えた本機と段々とコミュ力の上がっているターミネーター

TX?あれは忘れよう!

しかし彼を一目見た瞬間私は「錦戸亮??」と思ってしまったのです。

錦戸ファンからは「似てない!」と言われそうですが私には彼に似てるとしか思えなくなり、

なんというか敵なのに妙な親近感というか安心感を覚えてしまったんですね。

まあそれ抜きにしてもどことなく人懐こそうな顔つきの彼です。

正直1の時の真顔のマッチョマンシュワちゃんや、切れ長でいかにも機械といったクールなロバートパトリックを経験しているとやはり迫力が追い付けていません。

特にロバートパトリックのT1000の完成度が高すぎて彼を超えるのは無理だと思いました。

 

 

と、各キャラに対する思いを述べていきましたが、

本作でも改造人間であるグレースを含め未来から来た組は全滅します。敵も味方も。

もしサラがカールを(最終的に機能が停止したとしても)助ける様な展開があればそれこそが新機軸だったかなと思ったり。

まあでもそれをしてしまうとそこだけで色んな論争を呼び起こしそうですけどね。

 

という訳で新たに誕生した本作も個人的には満足いかず、

それが興行的にも芳しくない結果として表れているといういつものアレになってしまいましたね。

4も新起動もNFもそれぞれが惜しいんですよね、本当に。

良いツボ押してくれるのにそれが一瞬だったりするんですよね。

まあ新起動とNFは過去作要素でファンをニヤニヤさせる所ばかりがソレだったりするんですけど…

え?3?劇場で観て心底ガッカリしてから1度も見直してません。見る気もないですね。

 

殆ど書き終えてたのに最後の最後を放置していまい記事のアップが一月後とかになってしまいました。

悪い癖ですね。