映画の感想:第2回 『言の葉の庭』
2回目は一昨年の『君の名は。』で一躍超有名監督になった新海誠監督の『言の葉の庭』です。
好き度:10
推奨度:8
前回に引き続き高水準の点数がついていますが、適当じゃないんです!
ちゃんと真面目につけてこの点数なんです!
因みに基本的に色んな意味で静かな作品ですが、
サラウンドで聴くと良い味出します。
〇好き度
まずそもそも私は新海作品が好きでした。ファンでした。
流石に『ほしのこえ』から知っていた訳ではないですが、
どこかのアニメ雑誌で見た『雲のむこう、約束の場所』の広告に非常に惹かれたのを今でも覚えています。
近隣で作品が上映してない等の事情があり、上記作品と次作の『秒速5センチメートル』は劇場で観れず、『言の葉の庭』も同様でした。
悔しかったので『言の葉の庭』はすぐにBDを購入しました。
どんな作品は一切知りませんでしたが、新海作品ファンでしたので躊躇いは無かったです。
ある意味信頼と実績のある作風をお持ちですからね、うん。
まず驚いたのがヒロインの声が花澤香菜さんだということ!
監督が声に惚れ込んで採用したとのこと。
一部では「ミスマッチでは?」との声も囁かれていますが、
私は特別ファンとかではないのですがとても良い配役だと思います。
そしてやはり今回も炸裂しています、美麗な背景!
やはり新海作品はこうでなくちゃ!
〇推奨度
自分の夢の為にひた向きに頑張る男子高校生と、
現実に躓いてしまった社会人女性の交流を描く今作ですが、
交流の場が東京の新宿御苑というお洒落な作品です。
東京近郊にお住いの方だけでなく、遠方の方もこの作品を観たら実際の場所に赴きたくなる、そんな作品です。
因みにこの作品は『君の名は。』の前作に位置しますが、ほんの少しだけ、
ちょっとしたファンサービスとしての繋がりがあるので、
『君の名は。』は見たけどコレはまだ、という方にもオススメしたい作品です。
46分と劇場作品としては短めなのでサクっと観れますよ。
あと短いからといって映画としての魅力に欠けるなんて事は決してないのでご安心を。
〇ネタバレ
ここからはネタバレです。ご注意くださいね。
新宿御苑、しかも雨の日限定で逢瀬!?
なんてお洒落な!!
それはともかくチョコレートにビールという組み合わせに引いてたタカオ君ですが、
実はこれに理由があった事が判明した時は「そういう事かぁ・・・」と思いましたね。
というか観た人全員そう思ったはずですよね。
人って追い詰められると三大欲求が滅茶苦茶反応しますもんね。
特に睡眠欲と食欲は顕著ですよね。
寝れない、食べられない。ユキノ先生の場合味覚異常を起こしていたからその追い詰められ具合はかなり深刻だった事でしょう。
そんな大変な時期に距離を離していった(元)彼氏・・・は体育の先生でしたね。
ユキノ先生と電話で会話するシーン、彼はベランダでタバコを吸いながらでしたが、
カーテン越しには明らかに女性のシルエットが。
この女性の解釈には大きく3つ種類がありますね。
1:今の彼女だよ説
2:元カレのお母さんだよ説
3:元カレの奥さんだよ説
1はまあ順当、2はあそこは結構年季の入っている団地っぽい所でしたし可能性としては無視出来ないと思います。
問題は3ですね。これは監督自ら言及してましたね。
「そういう解釈もありますね」と。
まあ「あれが誰だ、というのは明確には設定してないので各自で自由に解釈して下さい」との事なので、ほっと一安心です。
もしユキノ先生が不倫してたなんて事になるとタカオ君が可哀想過ぎます。
大人の汚い恋愛劇に巻き込まれる形になるのですから。
そういう意味でユキノ先生の株も下がりますからね。
本作はヒロインであるユキノ先生の魅力もさることながら、
主人公であるタカオ君が良いですね。大人だけど真っ直ぐな熱さもあって、ひた向きで。
そんなタカオ君の淡い恋心はユキノ先生には届きませんでした。
年齢差だとか人生の経験値だとか、とても高い壁がありましたからね。
失意の内に先生の家を後にした彼を先生は追いかけます。
そこで彼は絶叫します。あそこのシーンは本当に良いですね。素晴らしい。
そしてついにユキノ先生も本音を吐露します。
「あそこであなたに救われてたの」と。
オチとしては正直満点を上げたいです。
あそこを安っぽいメロドラマにしなかった、流石です。
と同時に「今回もハッピーエンドじゃなかったか~」とも思いました。
一応タカオ君のモノローグで明るい未来が予感されていましたけどね。
でも良いんです、こういう終わりが。これだから良いんです。