映画の感想:特別編 『天気の子』を観てきました!
新海誠監督の新作『天気の子』を早速観てきました。
田舎でもこういうアニメ映画が観れる様になってしばらく経ちますが、
本当に良い時代になったものだと感じます。
でもそうなると人間とは欲の深い生き物で、やれ「IMAXで観たい」だのと言い出す訳です。
まさに今の私ですね。
秒速も言の葉の庭も近隣でやってなくて観れなかったのを未だに後悔しているというのに。
さて、前作『君の名は。』で空前絶後の大ヒットを飛ばした新海監督ですが、
本作の出来はどうなっているのでしょうか。早速私見ですが書き連ねていこうと思います。
ページを開くとネタバレのオンパレードです。ご注意下さいね。
勿論まだ1回しか観てません。ようは第一印象で語ってる感じです。
それを踏まえてなのですが、正直、なんというか、ヤマがない、オチが弱い。
いや、あったんです。あったんですけど、「あ、そこヤマなんだ」
「あ、オチもうなんだ」みたいな。うーん、弱い!
秒速や言の葉の庭も日常の恋愛モノなので君の名はみたいな
「衝撃の事実!」みたいなのはなかったと言えばなかったのですが、
それでもしっかりヤマもオチもありました。
秒速なんかはオチがしっかりしてるからこそ大ダメージを受けたファンが多数出た訳ですしね。
ここは追々語ります。
島暮らしの少年が家出して、ボーイミーツガールして、
なんやかんやで縁あった人の所に転がり込み、食い扶持と寝場所を確保し、
問題に巻き込まれ、解決し、大団円。
問題=世界の在り方に関わる事なので懐かしの所謂「セカイ系」になる訳なので、
私たちの世代からすると「懐かしい」とすら思う物語の運びですね。
逆に今の10代の子達からすると新しい要素とすら映るのではないかと時代の巡りを感じ、
ちょっと寂しくなったり、どこか嬉しくなったりもしました。
ともかく、物語の骨格は悪くないんです。
そこは名作を連発している新海作品ですからね、当然と言えば当然です。
で、問題の肉付けですが、どこが引っかかったかというとですね。
まず拳銃です。これは非常に個人的に引っかかりました。
そりゃあ大都会東京には拳銃なんてコンビニでは売ってなかったとしても裏のお店にいけば買えるかもしれませんが、
仮にそうだとしても普通の少年が拾ったそれを構えますかね?
バットや木刀、包丁などの刃物だって人は殺せますけど、
それって本来の使い方じゃないし、振ったり刺したりしなきゃそうはならないじゃないですか。
でも拳銃は殺傷以外目的のないもので、常識的に考えて大多数の人間が拒否感を覚えるものですよね。
それを躊躇なく構えてしかもあろうとことか実際に発砲するなんて。
その後ヒロインである陽菜に激怒されるのですが、そんなの当然ですよ。
というかドン引きものです。
「たまたまハンバーガーをこっそり奢ってくれた優しく可愛いハンバーガー屋の店員さんを怪しいスカウトマンから守るため」という時点で「え、なんでそんな距離感近いの」って思っちゃいましたよ。
誤解されそうなので付け足しますが、単に手を引いて助けただけなら引きはしないです。
でもその後の銃を構えて発砲するというのがあり得なさ過ぎて受け付けられないのです。
(まあ「嫌がってるだろ!やめろよ!」って割って入ってチンピラと対面するのが定石かな~と思ったりもしましたけど)
で、まあヒロインにもドン引きされて「あーあ」ってなるのですが、
戻ってきました、陽菜が。嘘でしょ。
距離感バグらせて発砲までした狂人相手に改めて話しかけるなんて・・・
この子も頭おかしいですよ・・・
その後二人は意気投合し、「晴れ間作ります」な感じでそれを商売にし楽しく過ごすのですが、
陽菜とその弟凪はみなしごです。二人でアパートで暮らしています。
ここもまた引っかかりました。
昨年お母さんを病気で亡くしてますが、その時に親戚等に引き取られるように役所が動いたりしなかったんでしょうか。
児童保護には詳しくないのですが、まだ16歳くらいの女の子と小学生の男の子です。
絶対何かしら行政が動くはずです。うーん、モヤモヤ・・・
あと陽菜の年齢はサバ読んでたのでお母さんが亡くなった時はまだ14歳ですね、実際には。
地味に須賀さんも家出少年を居候させるという、立派な未成年略取を働いてしまっていますね。
ここは作中にも触れられていました。でも正直ここは全然引っかかりませんでしたね。
自分でもそれは謎ですが。
あと主人公が家出した背景も「まあそれを起こすに至った出来事があったんでしょう」位は簡単に想像出来たのでそこは全然OKです。
そんなこんなで発砲事件と捜索願のおかげで警察から保護の対象になってしまった穂高少年ですが、
やたら職質されますよね。東京ってそんなに職質されるんでしょうか。分かりません。
そして結局捕らえられてしまうのですが、逃げる・抵抗する・暴行するの悪行のオンパレード。
ありがちな子供対権力=大人の構図ですが、本作の警察の皆さんは至って正しい側の人間です。
創作物によくいる悪徳警官でも無ければ、冷血な職務人間ですらありません。
監視カメラの映像から顔がはっきりと分かっている発砲家出少年と、
保護の対象である陽菜・凪姉弟を捜索している至って真面目なお巡りさん達です。
「消えた陽菜さんを迎えに行くんだ!!!」と言われても普通に「頭がおかしいのか?」と思うのも至極当然なんです。
逆に狂言で自己保身に走ろうとしていると思われても仕方のない言動ですね。
保護した少年に署から逃亡されたんですから彼らのキャリアは今後御先真っ暗というのも見過ごせません。
挙句の果てには銃口を向け合う展開になっちゃって。因みにまた発砲しました。
もうダメでしょ、この主人公。
須賀さんの説得にも耳を貸さず、挙句の果てにはその須賀さんに助けて貰う始末。
彼と穂高は「10代で家出してきてそこで心底惚れた相手がいる」という似た境遇を持っていますが、
さっきまで常識的で大人な行動をとっていた須賀さんが急にスイッチが入ったみたいに穂高側に立つのも解せません。
というのも、彼は言葉だけでなく行動も急に穂高側に立ったのです。
どういうことか?
そう、彼は警官たちにタックルをしかけただけでなく、
顔面を殴打してしまったのです。嘘でしょ。
あと夏美さんも穂高の逃亡に手を貸します。
無事に署に連行されてました。
穂高のせいで叔父と姪がそろって警察の厄介に・・・
しかも保線に当たってた現場の人たちがいるという。
注意だけして謎のマラソン少年を線路から立ち退かせようとはしない現場の人達。
嘘でしょ。
とまあ数々の犯罪を重ねて無事(?)陽菜と異世界で再開出来た穂高君。
そもそもなんで鳥居くぐっただけで君は異世界へ行けたんだ。
何か試練(「綾波!来い!」みたいな)があるのかなーと思ってたら、
二人仲良くお手々繋いでダイビングすれば元の世界へ無事復帰。嘘でしょ。
「陽菜を助ければこの異常気象は終わらない。本当は東京だけ世界か、陽菜か」というセカイ系には絶対に外せない無慈悲な二択の提示は事前にありましたけど、
救出シークエンスが余りにもあっさりし過ぎてて・・・
「『君の名は。』でも三葉・テッシー・サヤちんトリオが変電所爆破したり、
町内放送乗っ取ったり、立派な犯罪してたじゃん!」という声が聞こえてきそうですが、
そこの線引きは私個人としては「映画の中での正しい行為であれば犯罪行為は免責となる」と思っているのでモヤモヤはしないのです。
吹替が大人気な「コマンドー」でもショッピングモールで大暴れしたり、
飛行機から飛び降りたり、武器を強盗したり、あろうことかその場でロケットを誤射してしまったりしてもそれは「娘を連れ去った卑劣なテロリストを討伐するため」という映画的な大義名分があるから大多数の人は気にしないじゃないですか。それと同じかなって。
まとめると、
・現実世界が舞台かつ登場人物は普通の常識を認識しているはずの一般人が強い背景も無く法すら逸脱した行為を平気で働く
・ヒロインの消失という最大の問題そのものはあっさり解決
この2点が非常に気になったかなーと。
あ、オチもなんかサクっときまりすぎてて余韻が・・・
二人の感動の再会!お幸せに!終わり!
え!?指輪は!?!?せめて指輪返して終わってよ!!!!
あと私は陽菜が祈ってるシーンで、いつ横から彼氏が出てくるか戦々恐々としてました。
かつての新海監督ならやりかねませんからね。君の名はでハッピーエンドを迎えたからといって安心は出来ませんでしたよ。
・あれから3年(も)経った
・須賀さんから「早く会いに行け」と背中を押された
・連絡は取れていない
・指輪は穂高の手元に
ここまでフラグ立ってるんです、かつての監督ならやってましたよ、きっと!
まあそれをしたらネットをはじめ、各所で大荒れだったでしょうけどね。
リメンバー「秒速5センチメートル」
リメンバー「今、
あと私は地方民、田舎民なので東京を中心に回る世の中に疎外感等を覚えているので、
あそこまで東京の街並みを強く押されても全然感情移入出来ないどころか逆効果でして。
秒速も言の葉の庭も君の名はも東京が舞台になってますが、
ここまで「東京の街並み!観て!」な感じがしなかったので平気だったんです。
と、ここまで全部ネガティブな感想になってしまってますね。
良かった点は記事を分けてを書いた方が良さそうです。