『甲鉄城のカバネリ』

今回は映画の感想ではありません。

アニメの感想です。

昨日、ニコニコ生放送タイムシフトで『甲鉄城のカバネリ』を観ました。

ここ10年、アニメを見る量が極端に減りましたが、今作品も「まあ良いか」と当時スルーしていたものでした。

 

作風としては、ゾンビ・スチームパンク・ボーイミーツガール、でしょうか。

本放送時はどんな作品かも知らず、ただヒロイン(当時は主人公だと思っていた)の「無名」のキャラデザに大変惹かれた思い出があります。

当然名前すら知りませんでしたけどね。

後になって「どうやらカバネリはゾンビと戦う架空の日本が舞台の作品らしい」ことと、

「あの可愛い子はヒロインで、名前は無名、そして12歳(普通に19位だと思ってました)」という事を知りました。

「なんでそんな風変わりな名前なのだろう」とか思ったりしましたね。

 

さて、自分語りはもう止めて、感想にいきましょう。

 

結論から言うと、前半(特に4話位まで)は神作の雰囲気すらまとう素晴らしい作品、

後半(VIVA様登場)から凡作といった感じですね。

 

前半はとにかく生駒のキャラクターとしての魅力が光ります。

素直で爽やか、「銃口を向ける相手を間違うな」と強者に立ち向かう勇気もあります。

かなり好感の持てる主人公といっても過言ではないでしょう。

勿論脚本もキャラ頼みじゃありません。生駒の動きに呼応するように熱い展開をみせてくれます。

「見ろ。オレを見ろ!お前らが蔑んだ男が、血を流して死ぬ所を・・・。よく見ていろ!

オレがお前らを助けてやる。見捨てた奴に助けられた記憶を、ずっと抱えて生きて行け!

それを、オレはあの世から笑ってやる!ざまあ見ろってなぁー!!」

このシーンは観てて鳥肌ものでした。素晴らしかったです。

直後、甲鉄城は発進しますが、それを見送る生駒の後ろ姿のシーンも堪らないものがありました。

 

そして今作品は動き(作画)も素晴らしい。

特に無名のアクションシーンはテレビ版でやるにはそれこそサービスし過ぎな程です。

視聴者の多くを唸らせたであろう2話の110秒のシーンなんか最高ですよね。

あそこ本当に110秒経過してるからまたすごいです。

 

そんなカバネリも唐突に失速します。

VIVA様こと兄様の登場を契機に・・・

 

世界観を壊すかのようなバイクの登場、急に色とりどりになった髪の毛、

結局この手の作品にありがちな「人対人」な展開・・・

前半はキャラクターの為に脚本が存在したある種の理想の形態だったのが、

後半から急に脚本の為にキャラクターが動き始めた気がしました。

特にVIVA様はその影響をモロに受けたキャラクターでしょう。

 

「部隊を見殺しにした将軍である父に復讐する」という動機はまあありでしょう。

「じゃあ今付き従ってる連中はどうして心酔したの?」とか疑問が浮かびますけど。

しかも後から「実は幼少期から疎まれてたし、実際に殺されかけた」とか言い出しますし。

最期の時に「実は親子で一緒の馬に乗ったりと可愛がって貰ってた時もあったんだよね」と回想しだしたりと、この親子の関係が歪な事は分かっても「どうしてそうなったか」が説明されないので見ているこちらとしては消化不良を起こしました。

「元々親子仲は良かったけど、(事故か何かをきっかけに)カバネリになった自分を父親は恐れ殺しかけたが失敗、それ以降関係は冷え切ってしまった」とかの説明が欲しかった所です。

 

VIVA様の復讐心も変ですけど、情緒も変なんですよね。

カリスマっぽく振舞ったかと思えば、部下であるカバネリが暴走した際突きつけられた剣に本気で冷や汗を流したり・・・

元々自らの手で施した暴走状態なのにいざ自身にその刃が向いたら冷や汗流して焦るってダサすぎません?

生駒との最終対決も小物と達観した魔王みたいなキャラを行ったり来たり。

後ろから差し足抜き足忍び足で近付いていくシーンなんか笑いで涙が出そうになりましたよ。

 

将軍である父親を倒した後は金剛郭を占拠し、自身が将軍となるのかと思えば徹底的に金剛郭を破壊しだし、「この後はどうしようかなぁ」なノープランっぷり。

映画でよく見る「取り敢えず強盗したもののその後の事は考えてなかったチンピラ」並みに酷いですね。

本当なんで部下はこんな人に惹かれたんでしょう・・・

 

あと散々方々で言われてますけど、金剛郭はカバネに落とされたのに無名を黒煙にする意味ってあるんでしょうか。

「黒煙になってしまった無名を生駒が命を賭して救い出す」という展開がしたいがために脚本がキャラを動かしたのが見え見えですよね。

なのに肝心の「黒煙vs生駒」のシーンは一切なし!何考えてるんでしょう!

あっさり黒煙の中心である無名にたどり着き、薬を注射。

無名はさくっと助かります、やったね。

あれ?初めて黒煙と対峙した時は列車砲で外殻わざわざ剥がしてませんでしたっけ?

 

あと部下がVIVA様に白の方の薬を持たせてましたけど、

あの薬って「黒を打った後の解毒薬」じゃありませんでしたっけ?

VIVA様打ってましたっけ、黒の薬。

打ってませんよね?なんで持たせたの?

 

逆にしっかり黒の薬を打った生駒。命を削るドーピングです。

で、どうして金剛郭にまだ距離のありそうな浜辺で使ったの?

命を犠牲にする位だもの、時間制限ありますよね?

ほら、目もかすんでるじゃないですか!

どうして浜辺で打ったの?ドーピングしたら駿城より速く移動出来たり?

特にそんな描写はありませんでした・・・。

 

とにかくツッコミだしたらキリのない後半です。

「どうしてこうなった・・・」

恐らく視聴者の大半はこの言葉をつぶやいたことでしょう。

 

終わりに。

終始突っ込んでばかりでしたが、2話目まで間違いなく神作ですし、

VIVA様登場までは大変に面白い作品ですのでそこまでは視聴をオススメします。

 

2019年に劇場版があるそうですが、無名が神作画で大暴れする事を期待して観に行こうと思っています。